『ネットで購入したホイールがハミタイしたけど返品ができない』『お気に入りのホイールが自動車の代替えなどにより違う車に使用したらハミタイしてしまった』『ツライチにしたら車検でハミタイといわれた』などの理由で困ったことはありませんか?『意外と知らない!タイヤのはみ出しの知識』でも紹介しましたが、タイヤなどのはみ出しは保安基準不適合となる違法改造車です。少しくらいのハミタイであればこちらで紹介した内容でも対応できますが、タイヤが完璧にのはみ出しでしまっているのであれば今回紹介する内容でなんとかなるかれしれませんので参考にしてください。
※車に詳しくない方にも理解できるよう解説しています。投稿されている内容は法令の一部を紹介したものですべてではないため参考程度としてください。
この記事の目次
何mmまで対応できる?
今回紹介する内容はタイヤのはみ出し量が10mm(1cm)を超える場合は対応できない内容となります。これを超える場合は構造等変更検査を受けてください。
≪備考≫
実際の車両寸法と車検証に記載されている寸法が同一であることを前提とします。
タイヤのはみ出し量が1cmまでは大丈夫といってもギリギリをせめてしまうと保安基準に不適合になる可能性があるので避けてください。
今回紹介する内容と別の方法を組み合わせる場合はタイヤのはみ出しを隠すことが可能かもしれません。
その対処方法とは
『部品の取り付けによる構造等変更検査について』で紹介した内容となりますが、自動車検査証に記載されている寸法と一致しなくても、一定の範囲内であれば記載事項の変更、構造等変更検査が不要になることを利用します。
具体的に説明すると、自動車の幅は自動車検査証に記載されている寸法と±2cmまでであれば保安基準に適合することになっています。いいかえれば、片側1cmまでであれば幅を広げても大丈夫ということなのでタイヤのはみ出しをカバーすることができる可能性があります。
車検は大丈夫?
一定の範囲内(片側1cm)で幅を広げたことによりハミタイが解消した自動車は車検に受かるのでしょうか?一定の範囲内で幅を広げてハミタイが解消しても自動車検査証に記載されている幅からすれば、タイヤは確実にはみ出ることになってしまうので保安基準不適合となる気がしますが・・・。
解答としては車検に受かります!!陸運局(運輸支局)に直接確認をしたので間違いありません。しかし、幅を広げたことによってその他の保安基準に適合しなくなる場合は車検に受からないので注意をしてください。
部品の名称
幅を広げる部品の名称はオーバーフェンダー、フェンダーアーチモール(フェンダーカバー)、フェンダートリムなど様々な名称があります。具体的に名称の規定があるわけではないので参考程度として紹介しますが一般的な名称の違いを説明します。
オーバーフェンダー
上の画像はジムニーで35mmのオーバーフェンダー(タイヤ上部の黒い部分)になります。幅が広いため構造等変更検査が必要となる商品になります。
オーバーフェンダーは指定外部品で、幅の広いタイヤを装着するための部品、いわゆるタイヤのはみ出しをカバーするために取り付けられる部品をいいます。
フェンダーアーチモール
上の画像は車種を問わずに取り付けられるタイプのフェンダーモールになります。
フェンダーアーチモール(フェンダーカバー)は指定部品で、ドレスアップやボディーの傷つき防止などの目的から取り付けられるもので、一定の範囲(幅2cm)を超えないものをいいます。しかし、一定の範囲内であってもタイヤのはみ出しを隠すために取り付けられた場合はオーバーフェンダーとなるので注意が必要です。
正しい幅の広げ方
構造等変更検査の必要性
オーバーフェンダーは指定外部品のため、『部品の取り付けによる構造等変更検査について』で紹介した内容を説明すると
簡易的な取付方法であれば構造等変更検査が不要
固定的取付方法であれば一定の範囲内(幅2cm)であれば構造等変更検査が不要
恒久的取付方法であれば一定の範囲内(幅2cm)であれば構造等変更検査が不要
≪注意事項≫
この内容だけを参考にすると保安基準不適合となる可能性があるので『不適切な補修等について』も必ず読んで参考にしてください。
フェンダーアーチモールは指定部品のため一定の範囲を超えてとりつけても大丈夫な気がしますが、一定の範囲(幅2cm)を超えると指定外部品のオーバーフェンダーとして扱われるそうなので注意してください。
不適切な補修等について
審査事務規程の第2章 審査の実施方法『不適切な補修等』
次の各号に掲げる補修等を行った自動車は保安基準に適合しないものとする。
灯火器、シートベルト、座席後面の緩衝材、後写鏡、窓ガラス、オーバーフェンダー、排気管、座席、ブレーキホース、ブレーキパイプ、ショックアブソーバ、スプリング、タイロッド又は扉が粘着テープ類、ロープ類又は針金類で取り付けられているもの(指定自動車等に備えられたものと同一の方法で取り付けられたものを除く。)
※次の各号は1~11号まで定められていますが、今回はオーバーフェンダーについて定められている10号のみの紹介とし、その他は省略しています。
不適切な補修等の解説
例えば、タイヤのはみ出しを隠すためにとりつけられたフェンダーアーチモールはオーバーフェンダーとして扱われるので、その取り付けが粘着テープ(両面テープ)のみだと不適切な補修となり保安基準不適合となってしまいます。
ドレスアップやボディーの傷つき防止などの目的(タイヤのはみ出しを隠すことを目的としていない)で取り付けられたフェンダーアーチモールは保安基準不適合となりません。
不適切な補修等にならないためには
オーバーフェンダーは粘着テープのみによる固定では不適切な補修となってしまいます。これにより手で容易に取り外すことが可能である簡易的な取付方法も不適切な補修として判断されることになります。
よって不適切な補修等にならないためには部品の取り付けを『ビス、ボルト、ナットなどの固定的取付方法』又は、『リベットなどの恒久的取付方法』にする必要があります。
≪注意事項≫
両面テープは固定的取付方法ですが不適切な補修の粘着テープに該当します。しかし、粘着テープで固定することがダメというわけではありません。両面テープのみで取り付けられている場合は不適切な補修に該当してしまうので、その他の固定方法もしてくださいという解釈になります。
接着剤による部品の取り付けは固定的取付方法となりますが、粘着テープによる部品の固定との識別が難しいため避けてください。
その他の注意事項
『車体まわり関係の自動車部品を装着することにより歩行者、自転車等乗員に接触するおそれのある車体外側表面部分は、外側に向けて先端が尖(とが)った又は鋭(するど)い部分があってはならない。』という別の定めもあるため取り付ける際には注意してください。
実際に取り付けた例
こちらで投稿していますので参考にしてください。