私たち自動車整備士が、バッテリーを交換するときに一番注意していることは?
作業を確実に行うことは当たり前です。
一番注意していることは、その場でなおすことができない作業を増やさないようにすることです。
バッテリー交換後、実際に起きてしまったトラブルの例を紹介しますので、バッテリー交換時にそうならないように注意してください。
※ナビの有無や種類、自動車の構造によっては該当しない内容が含まれます
この記事の目次
ナビが使用できなくなった例
ナビにセキュリティコード機能が搭載されている場合があります。
このセキュリティは盗難防止の目的であり、ナビに保存されている個人情報などが悪用されないようにする目的もあります。
バッテリー交換後、上の画像のような表示がされたらパスワード(暗証番号)の入力をしなければ、ナビを使うことができません。
パスワードの確認は交換作業の前にするようにしましょう。
バッテリーを外すとセキュリティが働く理由
ナビは常時電源といって、エンジンが止まっている状態でも常にバッテリーからの電源が供給されています。
ナビ本体は、
バッテリーを取り外したから電源の供給がなくなったのか
ナビを車両から取り外したことで電源の供給がなくなったのか
の判断ができません。
よって、常時電源の供給がストップしたらナビを取り外したのだと判断しセキュリティをかけます。
パスワードがわからなかった場合
パスワードがわからなかった場合でも少し落ち着きましょう。
セキュリティー解除のパスワードを設定する際に、パスワードのヒントを設定してある場合があります。
ヒントの設定があれば、パスワード認証画面に表示されます。
(パスワードの入力を間違えた場合に表示される?)
例えば、ペットの名前は?などのヒント設定があります。
再度パスワードを思い出せないか確認してみましょう。
最終手段はメーカー・ディーラーでセキュリティ解除
どうしてもパスワードがわからない場合は、メーカーに問い合わせしてください。
純正品であればディーラーにてセキュリティ解除が可能です。
しかし、これらのセキュリティ解除は有料であることがあり、私が聞いた限りではディーラーだと2000円ほどの解除料がかかるようです。
また、ディーラーにてセキュリティ解除する際には、盗難品だった場合のために身分証明書や書類への記入を求められ、すぐには解除してもらえないので注意してください。
エンジン不調・エンストの例
ガソリン車では、バッテリー交換後にアイドル回転数が低下したり、エンストするようになる場合があります。
なぜエンジン不調・エンストするのか
自動車のコンピューターは様々なデータを取得し、補正を行うことでエンジン回転数を安定させています。
しかし、バッテリーを取り外すとコンピュータが今まで補正してきた学習値がリセットされ、初期状態になってしまいます。
バッテリー交換後のエンジン不調やエンストの主な原因は、エンジンの吸入空気量を調整しているスロットルボディーの学習値がリセットされてしまうことです。
スロットルボディーの学習値による補正の仕組みですが、
- スロットルボディーに汚れがたまる
- 汚れによって空気の通路がせまくなり吸入空気量が減少する
- 様々なデータからコンピューターが吸入空気量の減少を検出する
- 検出したデータを学習し補正をすることで回転数を安定させる
という流れですが、学習値がリセットされると
- 数年にわたって蓄積されたスロットルボディーの汚れの学習値が初期化される
- しかし実際には数年にわたって蓄積された汚れがあり吸入空気量が減少している
- 自動車の補正が間に合わずエンジン不調やエンストになる
ということです。
実際にエンジン不調・エンストしてしまったら
学習値がリセットされたことを別の言葉で言い換えると、
スロットルボディーが新品のきれいな状態の制御になった
ということです。
バッテリー交換後に不具合が出てしまった場合は、まずスロットルボディーを清掃します。
スロットルボディーの汚れは落ちにくくエンジンコンディショナーなどがあると容易に清掃することが可能です。
清掃の仕方がわからない、清掃したけど不調がなおらない場合はディーラー等に相談してください。
最後に
バッテリー交換は様々なリスクがあることを理解してから作業をするようにしましょう。
一番のおすすめは、バックアップ電源を使用してバッテリーを交換方法です。
強引なやり方でエンジンを始動したままでバッテリー交換をするという方法があります。
これは、エンジンが始動していればオルタネーターが発電をすることでバックアップされた状態が成り立ちますが、途中でエンジンが停止してしまったり、ショートの危険があるため絶対にしないようにしてください。
バックアップ電源を取るための様々なタイプ商品が発売されています。
こちらでも紹介していますのでぜひ参考にしてください。
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