ブレーキが引きずるということが実際に起きていることをご存知ですか?
最近でもブレーキの引きずりが起きてしまったため、保証延長やリコールになった部品もあります。
そもそもブレーキが引きずるということ自体がわかならないお客様もお見えになります。
今回は、ブレーキの引きずりに関する説明と、不具合箇所を見分ける簡単な方法を紹介しますのでぜひ参考にしてください。
ブレーキの引きずりとは
ブレーキを踏んでいない
サイドブレーキを引いていない状態であるにもかかわらず
ブレーキが常にかかってしまっている状態のこと
を『ブレーキの引きずり』といいます。
ブレーキの引きずりという不具合があったとしても、気付かず乗り続けてしまうケースが少なくありません。
理由として、軽くブレーキが踏まれているような軽度な状態であることが多く、例えブレーキに引きずりがあったとしてもアクセルを踏めば普通に走行ができてしまうからです。
しかし、軽度な引きずりとはいえ不具合に気付かずにいると、燃費の悪化、消耗品の早期摩耗などがおきますのではやめに気付けるようにしたいですね。
点検項目について
12ヵ月定期点検や24ヵ月定期点検(車検)でも点検項目となっています。
点検の項目としては、
『ディスクとパッドのすき間』
『ドラムとライニングのすき間』
がブレーキの引きずりが大丈夫かどうかの判断となります。
自動車は、これらの部品をこすり合わせ摩擦させることによりブレーキをかける構造です。
よって、ブレーキをかけている部品にすき間がなければ、ブレーキが引きずってしまいます。
点検等で不具合に気付いてもらえればいいのですが、12ヵ月点検を受けていたとしても、1年ごとにしか良好であることを確認することが出いません。
ブレーキの引きずりに気づく方法
目視編
ブレーキの引きずりは車の外観を確認しただけで気付くことができるケースがあります。
その方法は4輪のホイールの汚れ具合を確認・比較するという方法です。
ブレーキの引きずりがあれば、ブレーキダストが多く発生し汚れがひどくなります。
そのため、ホイールの汚れがひどければ、その部分にブレーキの引きずりがあることを疑うことができます。
その場合は、お近くの整備工場でしっかり点検してもらいましょう。
≪注意すること≫
自動車の構造に詳しくない方は左右のホイールの汚れ具合で確認・比較するとよいでしょう。
細かくはブレーキ構造などによりホイールの汚れ具合が違うため注意をしてください。
参考となる投稿はこちらで紹介しています。
また、ブレーキの引きずりは1輪のみとは限りません。
例えば、マスターシリンダーの不良により右前と左後ろの2輪にブレーキの引きずりがおきていたケースもあります。診断の際は十分に注意をしてください。
運転編
運転をする中で、1番ブレーキの引きずりに気付きやすいのが、クリープしないという現象です。
※クリープとは、アクセルを踏んでいない状態でも車が動くことをいい、オートマチック車に限ります。
ブレーキが引きずっている可能性があるのでお近くの整備工場で点検してもらいましょう。
≪注意すること≫
道路の傾斜、タイヤの空気圧、車の荷重、荷物や乗車定員などの別の条件によりクリープしないこともあります。
診断する際には十分に注意してください。
また、ブレーキの引きずりにより『加速がしにくくなった』というご用命で入庫されたお客様もいます。
ほかにも、燃費の悪化や異音、異臭となって原因が判明することがあります。
温度編
ブレーキが引きずると、ブレーキが常にかかっていることにより高温になります。
その熱はホイールまで伝わります。
走行後すぐの車両で、各ホイールの温度の差を手で触って比較してみてください。
※高温で火傷の危険もあるので、軍手やウエスの上から触れるようにしましょう。
異常に熱いホイールがある場合は、ブレーキが引きずっている疑いがあります。
また、雨天時に煙が発生したことでブレーキの引きずりが発覚したケースもあります。
これは引きずりによるブレーキ系統の温度上昇により、水が蒸発し煙のようにみえたという例です。
実際の点検方法
ブレーキの引きずりに気付く方法がいくつかありましたが、これらの情報の中で一つでも疑いがあるのであれば、その他の方法による点検を行い総合的に判断するようにしてください。
※ここから先の内容は、整備工場で行うことをおすすめします。
また、疑わしいのであれば実際に車両をあげて、タイヤを手で回し抵抗を確認します。
ブレーキに引きずりがある場合は、ブレーキ系統を分解して点検をします。
よくあるのが、
キャリパーという部品の摺動(しゅうどう)不良です。
ブーツ(ブッシュ)の損傷により摺動部が錆びていたりします。
また、ピストンの戻り不良のケースもあります。
ピストン・ピストンシリンダー・ピストンシールなどに不具合があるので、ピストンバック(ピストンを押し戻すこと)により摺動がスムーズかどうかを確認しましょう。