
以前に紹介した自動車の窓ガラスに貼っていいものは様々なサイトで紹介されていますが、第29条第4項第6号の『運転者の視野の確保に支障がないものとして告示で定めるもの』についてはあまり紹介されていない内容です。ここまで知っているのは自動車検査員レベルの人で内容的には上級者向けとなっていますが、できる限りわかりやすくまとめましたので参考にしてください。
※車に詳しくない方にも理解できるよう解説しています。投稿されている内容は法令の一部を紹介したものですべてではないため参考程度としてください。
この記事の目次
第5項(窓ガラスに貼っていいもの)
第1号
後写鏡(ルームミラーと呼ばれることが一般的です)
第2号
ETCアンテナ(車載器一体型も含む)、VICSアンテナ、ドライブレコーダー、タクシーなどの車内防犯カメラ、車間距離を測定するためのセンサー、レインセンサー(ワイパーをオート機能にするためのもの)、温度・湿度感知器(空調をオートにするためのもの)、日射センサー(ライトをオート機能にするためのもの)
≪備考≫
これらはフロントガラスのどこに貼ってもいいわけではないので注意してください。
フロントガラスの上から20%以内の範囲、下から150mm以内の範囲なら貼り付けてよいものとなっています。
第3号
テレビ、ラジオ、ナビのGPSなど公共の電波を受信するためのアンテナ
(1)フロントガラスの上から20%以内の範囲、下から150mm以内の範囲なら貼り付けてよいものとなっています。
(2)運転席の目の前の部分に貼り付ける場合は機器の幅が0.5mm以下で3本以下
(3)上記の(1)(2)以外の部分は機器の幅が1.0mm以下
≪備考≫
ここでいっている機器の幅は、フィルムアンテナの黒い部分のみをいっています。
(アンテナを張り付けるための透明な粘着部分は含まない)
この他にフィルムは貼付許容範囲があり、ガラスの端(透明な部分)から25mm以内であれば貼り付けてよいことになっています。アンテナの給電端子部・アンプ部は太くなっているためこの範囲に収まるように貼り付けましょう。
第4号
窓ガラスの曇り止め
(1)フロントガラスの上から20%以内の範囲、下から150mm以内の範囲なら貼り付けてもいいものとなっています。
(2)曇り止めの機器(形状が直線・ジグザグ・正弦曲線の電熱線)で運転席の目の前の部分は、機器の幅が0.03mm以下で8本/cm以下(導体が水平に埋め込まれたばあいは5本/cm)
(3)上記の(1)(2)以外の部分は機器の幅が0.5mm以下(合わせガラスの合わせ面に埋め込まれた場合は1.0mm以下)
ワイパーの凍結を防止する機器
下から150mm以内の範囲なら貼り付けてもいいものになっています。
第5号
駐留軍憲兵隊の発行する自動車の登録に関する標識
第6号
装着・貼り付け・塗装された状態で透明であること
運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分にあっては可視光線透過率が70%以上であること
≪備考≫
透明であれば前面ガラス・側面ガラスにもフィルムを貼ってよいといっています。
しかし、前面ガラス・側面ガラスに保安基準に適合するフィルムが張り付けられている場合でも、透過率を測定する機器がない整備工場においては保安基準に適合しているかどうかの判断ができないため、フィルムを取り外すことを求められる場合があります。また、透過率が70%以上でも、ひずみがあるものは保安基準不適合となるので注意してください。
第7号
盗難防止装置がついていることを表示するステッカー(セキュリティーステッカー)
側面ガラスの下から100mm以下、後方から125mm以内であれば貼り付けてよいことになっています。
第8号
特殊自動車の内容であまり関係ないため省略します。
第9号
窓ガラスの分類・窓ガラスに係る情報の表示であって、運転者の視野の確保に支障がない位置であること
第6項(透過率が70%以上なくてよい部分)
第1~4号
第5項6号でいっている『運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲』以外の部分はどこなのかを説明しています。(透過率が70%以上でなくてもよい部分をいっています)
≪第1号≫
フロントガラスの上から20%以内の範囲
≪第2号≫
側面ガラスであって、自動車の側面に設けられた扉等より上方に設けられた窓ガラスの範囲
≪第3号≫
側面ガラスであって、自動車の側面に設けられた扉等の下部に設けられた窓ガラスの範囲
≪第4号≫
乗車定員11人以上の自動車及びその形状が乗車定員11人以上の自動車の形状に類する自動車の側面に設けられた扉の窓ガラスのうち、運転者席の座面を含む水平面より下方の範囲
第7項(透過率が70%以上なくてよい部分でも透明であること)
第1号~第3号
第5項第6号で運転者より前方の窓ガラスは透明であるものとしていますが、透明とはどういうガラスなのかを説明しています。
(透過率が70%以上なくてもよい部分でも透明でなくてはならない)
≪第1号≫
運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分にあっては、他の自動車、歩行者等
※運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲は透過率が70%以上必要で、自動車、歩行者が確認できなくてはなりません。
≪第2号≫
第6項第1号、第6項第2号の部分は交通信号機を確認できること
※第6項第1号、第6項第2号の部分であれば透過率が70%未満でも交通信号機が確認できれば保安基準に適合します
≪第3号≫
第6項第3号、第6項第4号の部分は歩行者等を確認できること
※第6項第3号、第6項第4号の部分は透過率が70%未満でも歩行者等が確認できれば保安基準に適合します
≪備考≫
フロントガラスの上から20%以内に取り付けてよい機器であっても、信号が確認できなければならないということになります。貼付の許可がおりている機器であってもサイズが大きいものの取り付けは保安基準不適合となる可能性があるため注意してください。
また、『透明であるもの』は正確な透過率等が定められていない部分があり、保安基準に適合するかどうかの判断が難しいグレーゾーンとなります。保安基準に適合するかどうかの判断が難しい濃いめのフィルム等が張り付けられている場合は、運輸支局への持ち込みをすすめられたり、取り外すことを求められる場合があります。
第8項、第9項はあまり関係ないので省略します。